第6回

玄関・寄付・待合
お客様は玄関で靴を脱ぎ、寄りつきで身づくろいを行い、待合で他のお客様にご挨拶を交わしてともに亭主からの声を待つという流れになります。


玄関
茶室や茶席を催す住まいの玄関はできれば高さを押えた瀟洒な屋根から入ってもらったほうが良い雰囲気をお客様に与えるものです
草庵茶室や小間の茶席は古くから建物に入る前からの気持ちを大切にして設計されていたのです。
玄関戸はあらかじめ手がかり分を開けておいてお客様への入口を示すわけですから、引き戸とした方が良いでしょう。
玄関床から室内床への上がり框(浜床)までの高さは、どういう使い方をするかによって違ってきます。

例えば、建物の広さや待合の有無によって玄関を待合として腰掛兼用にすることも考えられますが、このときは上がり框までの段差はある程度必要になります。
そうではなく玄関としてだけ使うのであれば、高齢者が増えてきたり和服を着ていることも考えて高低差が少ない(20cm以下)ほうが良いでしょう。
この高低差の違いは玄関のイメージをかなり左右します。

最近はバリアフリー化することは常識化していますので、玄関と廊下との段差は小さくなりつつあります。

敷地などの関係で玄関を腰掛待合兼用にする場合もあるでしょう。こんな時は腰掛を設けるだけの広さと機能が必要になります。

寄付
寄付を簡単に言うと、手荷物の置場所・身づくろいの場所・待合への心の準備をする場所といったところでしょうか。

「寄付待合」などという言い方をしますが、寄付と待合は分かれていたほうが便利です。
寄付は、手荷物を置いたり身だしなみを整えたり、足袋に履き替えたりといった、お客様の裏方部分になりますのでできれば別に欲しいスペースです。

ですから玄関の近くで待合へのアプローチがしやすい位置、できればトイレの近くにあることが望ましいですよね
場所を確保できないときも多いのですが、小部屋であってもあると便利ですよ

無理な場合は、待合の隅にでも手荷物用の「乱れ箱」や「手荷物用押入、ロッカー」といったものを考えましょう。