22回  

水屋の大切さPart

水屋というのは裏方の場所ですが、亭主がお客様をもてなすときの前線基地と司令室の両方を兼ねる場所だと思えば、その重要性がわかるはずです。
水屋が使いにくい茶室はその建物自体が使いにくいということにもつながるのです
単なる「茶碗を洗う場所」ではないのです。

■水屋の機能■

水屋の機能としては、大きく「懐石以外の茶事」と「懐石のため」に使うという2つの機能が求められます。

最近は懐石を省略したり、盛り付けや配膳だけにしたりということが主流になっているので、「茶事のため」という機能を中心に求められることが多くなっています。

しかし全く不要ではないので、懐石を盛り付けたり並べたりするための余裕のスペースも確保します。

●流し

座って使う流しと立って使うキッチンタイプと2つ考えられますが、両方用意するとぐっと使いやすくなります。

座式の流しは銅板またはステンレスのシンクとして製作しますが、この流しには竹でつくられた簀子(すのこ)を置きます。材料によって簀子にも3種類程度に分けられます。キッチンタイプの流し台はシステムキッチンや場合によってはミニキッチンでもよいでしょう。

ミニキッチンには温水器なども組み込んでおくと使い勝手がぐっとアップします。

●水屋棚

周りの壁には水の跳ね返りを防いだり、竹釘を取り付けるために杉などの腰板を取り付けます。

腰板の上から1寸下がり、間隔3寸5分から4寸の位置に竹釘を打ち並べていきますが、本数や位置は流派によって違いがあるようです。横の柱にも手拭き掛け用の竹釘を打ちます。

道具類の並べ方などは水屋の広さや流派によって違いがありますが、茶碗棚・道具棚・上段棚・下段棚など茶事に使うこまごまとしたものを効率よく整理して使うために、板の幅や間隔などの位置関係を決めていきます。

古来からの茶室は面積や規模がそれぞれ違いますのでいろいろな水屋棚の形式が存在します。

しかし持っている道具の種類や数などは皆それぞれ違いますから、使いやすい長さを考えましょう。