第13回  

にじり口(躙口)のかたちについて

にじり口のこと

大寄せの茶会ばかりや、お稽古場ににじり口が無い場合では見たことが無いという方たちもいらっしゃると思います。
写真では見ているので知っているけれど、くぐったことが無いという方がほとんどかもしれません。
あの低くて狭い入口から入ると茶会に対する感激度もかなり違うのが実感されます。
にじり口はただの低い片引き戸ではないのです。

建具の姿や挟み敷居、挟み鴨居、その上の窓とのバランス、床の間との関係などすべてが一体で初めて「にじり口」といえます。
大きさについては、巾2尺2寸、高さ2尺3寸程度といわれていますが、日本人の体型に合わせて大きくなる傾向にあるようです。
にじり口前の乗石から敷居までの取付高さは、しゃがんだときに畳とひざの高さが同じ程度が良いとされています。
それより高くても低くても出入りしにくいのです。
うまくできていますよね。

にじり口の仕様
元々雨戸の一部をにじり口として利用したために、張ってある板が不均等であったり変則的なデザインになったといわれています。
その扉の裏側を室内側に見せるのです。
取付の大きな特徴のひとつが挟み敷居と挟み鴨居です。
建具を上と下で挟み込んで取り付けるために、外から取外しができないようになっているのです。
言葉では分かりにくいので実際に茶席を見学してみてくださいね。
室内側の掛け金物は一番上の横桟の下端に取り付けるとされています。

にじり口を省略して貴人口だけの茶室もあります。(小間であってもにじり口だけでは侘びすぎると感じるのでしょう)
でも、やはり小間にはにじり口が欲しくなります。